誰しも家族や友達のように関わり合う相手がいなければ、それ以外のことが満たされていたとしても辛いものです。
現代はインターネットを通じた交流も盛んに行われていますが、それも、人が繋がりを求める気持ちがあるからに他ならないと思います。
今回紹介する絵本では、友達がどれだけ大切なものかを学ぶことができますので、全てのお子様に読んでもらいたい一冊です。
天才ゴリラのゴリオ
ゴリラのゴリオは動物園に暮らしているのですが、とにかく賢いです。
手話ができるので、何かほしいものがあるときは、世話係の人に頼みます。
イスに腰掛けて、ハンバーガーを食べながら、テレビを見ているようなゴリラで、不自由なく暮らしているように見えました。
ですが、ゴリオは寂しかったのです。ある日、ゴリオは世話係に友達がほしいと伝えました。
ヒメちゃんとの出会いが教えてくれるもの
動物園には、他のゴリラがいないので、世話係の人たちは困りましたが、猫のヒメちゃんをゴリオの友達にすることにしました。
ここからのゴリオは、本当に幸せな日々を送ります。ずっと友達がいなかったゴリオは、ヒメちゃんをとてもとても大切にします。ヒメちゃんも楽しそうに毎日を過ごします。
物質的なものがどれだけ満たされようと、他者との繋がりがなければ、幸せな気持ちにはなれないことをゴリオは教えてくれます。
私たちは、当然のように多くの人と関わりを持っていますので、それがどれだけかけがえのないものなのかを子供に伝える機会は意外と少ないのかもしれません。
この絵本は、人との繋がりがどれだけ尊いものなのかを子供に伝えてくれています。
離れ離れの危機
幸せに暮らしていたゴリオとヒメちゃんですが、ある夜、一緒にテレビ映画を観ていた時に、ゴリオはイラついてしまい、テレビを破壊してしまいました。
世話係の人たちは、危ないので、ゴリオとヒメちゃんを引き離さないといけないと話をしていました。
それを聞いて、ゴリオとヒメちゃんは寂しそうな表情で見つめ合います。
ゴリオはまた友達のいない日々を想像したかもしれません。ヒメちゃんも大好きなゴリオと離れ離れになるのは辛いと思ったに違いありません。
すると、ヒメちゃんが身振りで世話係の人に、あたしがテレビを壊したのと言いました。
小さなヒメちゃんがテレビなんて壊せるはずがありません。
ですので、そんなことを言ったヒメちゃんに、みんなどっと大笑いしました。
ヒメちゃんもゴリオと一緒にいたいという気持ちが、みんなに伝わったので、それからもゴリオとヒメちゃんは一緒に幸せに暮らせることになりました。
美しき友情
このお話では、友達がいないと寂しがっていたゴリオが、待望の友達ができて喜ぶ姿や、仲良くなれた友達とは、ずっと友達にいたいという、美しい友情の物語が描かれています。
表情豊かなゴリオの顔を見るだけでも、子供たちは大いに楽しめると思いますので、楽しみながら友情の素晴らしさに触れることのできるこの一冊を、ご興味のある方は図書館で探してみてくださいね。
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