この幸せが続きますように 「おじいちゃんがのこしたものは…」

子育て

おじいちゃんがのこしたものは…(評論社)
マイケル・モーパーゴ 文
ジム・フィールド 絵
佐藤 見果夢 訳

テーマ:みんなの幸せを考える

私たちが暮らすこの世界には、とても幸せに暮らしている人がいる一方で、人間がよりよく生きるためにしてきたことが原因で、貧富の差や戦争によって苦しむ人や、住む場所を奪われる動植物たちが増えていった現実があります。

この絵本に出てくるおじいちゃんの手紙には、必要なだけ育てて、必要なだけ食べ、持っているものを互いに分け合う方法を考えて、人間は、地球を愛することを、学びなおさなくてはならないということが書かれています。

幸せいっぱいのおじいちゃんが、この幸せがいつまでも続くように、そして、今、幸せではない人や動植物が幸せになっていける新しい時代を願って、ミアに贈った優しさに溢れた手紙です。

スポンサーリンク

クリスマスに読むおじいちゃんの手紙

ミアは、結婚して子供がいるのですが、毎年クリスマスには、亡くなったおじいちゃんからの古い手紙を家族みんなで読みます。

おじいちゃんの願いを、ミアはよくわかっていて、子供にも伝えているのです。子供たちも、手紙の言葉を覚えていて、おじいちゃんの願いは、しっかりと繋がれています。

温かくも切なる思いが込められた手紙

おじいちゃんの手紙は、ミアとの楽しい時間を回想するところから始まり、おじいちゃんがどれだけ幸せなのかということが伝わってきます。

しかし、突然話の流れは変わります。

生き物の命は、儚く脆いので、地球を粗末に扱い続ければ、この豊かな大地も荒れ果てて、生き物が住めないところになるだろうということを伝えます。

人間の技術や文化の進歩は、人々の暮らしを豊かにしていきましたが、環境汚染が進み、多くの生き物が迷惑を被っているだけではなく、その代償は、飢饉や水害、山火事のように、人間にも降りかかってきています。

そして、人間の醜い争いが貧しい人を生み、足りない場所がある一方で、余っている場所があるということがあちこちで起こっています。

こんなことを続けていては、今、幸せな人たちもいつか滅びてしまうとおじいちゃんは考えているのでしょう。

みんなが幸せになるために、常に地球のリズムに合わせ、地球と調和するように生活することが大切だと、おじいちゃんは手紙を通じて教えてくれています。

なぜこんなことになっているのでしょうか?

人は限りない欲を持っているものです。そして、それを自分で上手くコントロールしたり、心を育てて、より高尚な欲に昇華させるということをしなければ、自分さえよければいいと考えたり、誰かとの奪い合いをいつまでも続けてしまうということをやめることはないでしょう。

おじいちゃんは、みんなが幸せに生きられる世界を願って、たくさんの話をしてくれていますが、手紙の中に出てくる、「必要なだけ育てて、必要なだけ食べる。持っているものを、互いに分け合う方法を考える。」という言葉に全てが詰まっているように思いました。

私たち人間はこれからも進歩していくでしょう。しかも、その規模はどんどん大きくなっていくでしょう。

しかし、その中で、それをすることで誰かが犠牲にならないだろうかということを、常に考えて前に進むことが大切だと、おじいちゃんの手紙を読んで思いました。

子供にとっては初めて知る世界

大人にとって、この絵本で書かれているような、貧富の差や環境破壊はすでに知っている問題であると思います。

けれども、子供にとっては、自分たちの知らない世界があることに気付けるかもしれません。

この絵本を読んで、地球を守るってどういうことだろうかと考えると、なんだか心がすごく優しい気持ちで包まれるような感覚になります。

是非、お子さんと読んで優しい気持ちを育んであげてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました