自分の得意なことってすぐに答えられますか?
自分にとっては当たり前でも、周りの人にとっては意外と難しいことがあるものです。
この絵本に登場する男の子は、動物たちとの関わりの中で、自分のいいところを発見しました。
今回の絵本は、動物たちの愉快な腕くらべを見ながら、想像力を働かせ、自分のいいところってどこだろうとお子様が自然と考えたくなるような一冊です。
自分の世界に入り込む瞬間
このお話は、森の中からワイワイガヤガヤいう声が聞こえてきて、男の子が森の中へ見にいくところから始まります。
これは作り話なので、男の子は本当に動物に出会ったのかもしれませんが、現実の世界では目にすることのない光景ですので、男の子は自分の空想の世界に入り込んだと考えることもできます。
そして、その空想の世界は澄んだ心の動物ばかりがいるとても美しい世界です。
みんなを肯定してくれる歳とったゾウ
動物たちは、男の子を待っていました。
これは、前作「もりのなか」で、お父さんと、きっと待ってくれているという話をしていた動物たちが、本当に待ってくれていたということなのでしょう。
動物たちは、自分の得意なことをやって、誰のが一番いいか、腕くらべをしようとしていました。審査委員長は、歳とったゾウです。
みんなが自分の得意なことを披露していくのですが、みんなに「よろしい」と言って、誰一人否定せずにみんなを肯定してくれます。
これが男の子の空想だと考えると、とても心の綺麗な子だなって思いますよね。
笑う男の子
男の子の順番になったときに、男の子は逆立ちをして、鼻でピーナッツをつまもうとしましたが、おかしくなって笑ってしまいました。
すると、動物たちは、みんな立ち上がって、目を丸くして、男の子を見ました。
そして、歳とったゾウは、これが一番いいと言いました。
なぜかというと、森の動物は、誰も笑えないからです。
みんな、他に何もできなくてもいいから、男の子みたいに笑ってみたいと思いました。
男の子は、歳とったゾウの背中に乗せてもらい、みんなで、森の中を行進しました。
もし、このお話が男の子の空想だとしたら、自分で自分のいいところを発見して、自分を肯定してあげています。私たち大人も見習いたい素晴らしい空想ですよね。
迎えにきたお父さん
行進していると、どこからか、お父さんの呼ぶ声が聞こえてきます。
すると、歳とったゾウが、「さようなら」と言います。
ゾウの鼻から降りるときに、とてもくすぐったかったので、転げ回って笑っていたので、お父さんが、「何がそんなにおかしいのさ」と聞いてきます。そのときには、動物は1匹もいなくなっています。
男の子は、動物たちとのやりとりをお父さんに話しました。
それを聞いたお父さんは、「お父さんだって、他に何もできなくてもいいから、お前のように笑ってみたいよ」と言いました。
お父さんは、男の子の空想を否定することなく、男の子の笑いが素晴らしいことを肯定してあげています。
全てを受け入れてもらった男の子はますます想像力を増していくと思いますし、自己肯定感も高まっていくことでしょう。
想像力と自己肯定感を高める一冊
このお話はファンタジー的な要素もあるので、お子様も楽しみながら聞き入ることができますし、男の子の綺麗な心、楽しむ心を通じて、想像力と自己肯定感を高めることができる一冊ではないかと思います。
お子様のお気に入りになれば、何度も繰り返し読み聞かせをしてあげてほしい絵本です。
コメント