親子のペースメーカー 「もりのなか」

子育て

もりのなか(福音館書店)
マリー・ホール・エッツ ぶん・え
まさき るりこ やく

テーマ:子供のリズム

子育てをする中で、仕事や家事もこなすとなると、なかなか子供のペースに合わせてあげれられないっていうことありませんか?

今回紹介する絵本は、子供のゆったりとしたリズムがたまらない一冊です。

絵本を読んでもらう子供はこのリズムが心地よく感じ、大人にとっても子供の速度に足並みを揃えることができますので、どんな親子にもオススメです。

なかなかお子様のペースに合わせて生活をすることが難しい方も多くいらっしゃるかもしれませんが、絵本の読み聞かせのときだけでも、子供のリズムに合わせた時間を過ごすことができる素敵なお話です。

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子供特有のテンポで進む仲間作り

「もりのなか」は、ラッパを持った男の子が、森へ散歩に出かけるお話です。

散歩をしていると様々な動物に出会います。

そして、ライオン、ぞう、くま、カンガルー、コウノトリ、さる、ウサギが男の子と一緒に散歩したいと言ってついてきます。男の子は、誰一人拒むことなく、全ての動物たちを受け入れてあげます。

ここで特徴的なのが、男の子が出会った時点では、誰もお出かけをする準備ができていないということです。

男の子は一緒に行きたいという動物たちが身支度するのを、急かすことなく待ってあげます。

男の子にはたっぷり時間があったのかもしれませんし、自分も身支度に時間がかかるので、動物たちの気持ちをよく理解してあげれたのかもしれません。

準備ができるまで、じっと待ってあげるというのは、簡単なようでなかなか難しいことです。イライラすることなく、動物たちの身支度を待ってあげている男の子の表情には癒されます。

心優しい男の子

動物たちの中でも、ウサギは少し他とは異なります。

自分よりも大きな動物たちが集まっていたこともあるのか、男の子と出会ったウサギは少し怯えているように見えます。

そこで男の子は、「こわがらなくって いいんだよ」と声をかけてあげます。そして決して強制することなく、来たければ来ればいいよと続けます。

ウサギは安心したのか、男の子についていきます。

現実の世界でも、本当は友達と遊びたいけれども、自分から輪に入ることができない子もいますと思いますが、そんな子をみんなの輪に入れてあげようというのと同じ感覚なのかなと思います。

この男の子のようなタイプの子なら、このお話から声のかけ方を学べるでしょうし、ウサギのようなタイプの子も、このようにして友達は増えていくから安心してねという話ができます。

動物たちと遊ぶ男の子

動物たちと散歩をする男の子は、誰かがピクニックをしたあとを発見し、そこでおやつを食べたり、いろいろな遊びをして過ごしました。

男の子は、体の大きさも、性格も、何もかも異なる動物たちと楽しく遊びます。子供って、どんな子とでも仲良く遊べてすごいですよね。

みんなと仲良く遊ぶ姿は、私たち大人も見習わないといけないぐらいに微笑ましい光景です。

素晴らしいお父さん

男の子が動物たちとかくれんぼをしていたときでした。

男の子が、「もういいかい!」と言って、目を開けても、動物たちは、1匹もいなくなっていました。

そして、そこにはお父さんがいました。

男の子は、動物たちと遊んでいたことをお父さんに伝えます。

男の子が遊んでいた動物たちは本当にいたのか、男の子が夢を見ていただけなのかはわかりません。

しかし、お父さんは男の子の言うことを否定したりはしません。

もう遅いから帰らないといけないけど、きっと、また今度まで待ってくれるよと、男の子に話します。

人によっては子供が変なことを言っていると思って、子供の発言に対して否定的な受け答えをするかもしれませんが、このお父さんは、男の子の話したことを否定することなく、優しく受け入れてあげました。

もし、お父さんが、男の子に、「そんなわけないだろ」や「夢でも見てたんじゃないか」ということを言えば、男の子はこの本の終わりに、森の方に向かって言葉を発することはなかったと思います。

子供にとって心地よく、大人にとって子供を理解できる絵本

この絵本を読むと不思議な感じがします。ゆっくりなスピードで話が進みますし、最後も一体何が起こっているのか、真相はわからないまま終わります。

だけれども、なぜか心が温かく感じます。

それは、子供にあったリズムで話が進むので、子供は心地よさそうに話を聞きますし、大人にとっても、子供にしっかりと向き合うには、こうして子供に足並みを合わせてあげる必要があるんだなと思わせてくれるからだと思います。

忙しい毎日に追われる私たち大人ですが、子供と同じスピードで時を感じることができるこの絵本を読んで、お子様との味わい深い時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?

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