うれしいサプライズ 「ブルンミのたんじょうび」

子育て

ブルンミのたんじょうび(風濤社)
マレーク・ベロニカ 文・絵
羽仁協子 訳

テーマ:友達を喜ばせよう

子供って、誕生日のお祝いが大好きですよね。

プレゼントがもらえたり、みんなでケーキを食べたり、とても幸せな時間を過ごして満足げな表情を見せてくれると、親も嬉しくなってくるものです。

今回はそんな誕生日のお話です。

自分の誕生日であることを忘れているブルンミと、ブルンミには秘密で誕生日のお祝いの準備をするアンニパンニの心温まる内容になっています。

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友達思いのアンニパンニの遊び心

このお話は、パジャマ姿のアンニパンニがブルンミに、「今日は何の日かわかる?」という問いかけをするところから始まります。

自分の誕生日であることをすっかり忘れているブルンミは、わからないから教えてほしいとアンニパンニに言います。

この瞬間に、アンニパンニはブルンミにサプライズでお祝いすることを決めたのだと思います。

アンニパンニは、「ひ み つ!」とブルンミに答えました。

たくさんの「ひ み つ!」にお子様も大盛り上がり!?

それからアンニパンニは誕生日の準備を進めていくのですが、いつもとは違うアンニパンニの行動に疑問を持ったブルンミは、どうしてそんなことをするのかと、何度もアンニパンニにたずねます。

そのたびにアンニパンニは、「ひ み つ!」と答えます。

この「ひ み つ!」という言葉がしつこいぐらいに繰り返されるのですが、ここがこの絵本のポイントなんです。

文字の間にスペースを開けて、強調されているこのフレーズは、子供にとても楽しませてくれます。

何回かこの絵本を読んでいるうちに、子供たちも一緒に「ひ み つ!」と言い始めるような不思議な魅力を持ったフレーズです。

筋道を立てて考える力を育む

この絵本のもう一つのポイントは、「ひ み つ!」という言葉が、子供の筋道を立てて考える力を育ててくれるということです。

アンニパンニがブルンミにサプライズを考えていなかったとすれば、朝の会話の時に「お誕生日おめでとう!」ということを言っていたかもしれません。

けれども、アンニパンニは、お祝いの準備ができてから誕生日であることを伝えて方が、ブルンミをもっと喜ばせることができると考えて、その場では誕生日であることを秘密にしました。

大人にとってみれば、何でもないことかもしれませんが、小さな子供にとっては、目の前に誕生日おめでとうと伝える選択肢があれば、その場で伝えてしまう子がほとんどだと思います。

この絵本を通して、アンニパンニはブルンミを喜ばせるための筋道を立てて行動していたんだということを潜在的に感じてもらうだけでも、子供にとっては大きな刺激になるものだと思います。

「これがしたいからこれをする」しかできなかったのが、「これをするとこんなことが起こるかもしれない」ということを考えられるようになるきっかけになる絵本になるかもしれません。

大人では当たり前と思っていることも、子供にとっては未知の体験であることもたくさんあります。この絵本も、小さな子にとっては未知の体験をすることができる一冊になるかもしれません。

最後はみんなハッピー

お祝いの準備をしているアンニパンニに何を聞いても「ひ み つ!」と言われて何も教えてもらえないブルンミはついに怒って出て行ってしまいますが、ちょうどお祝いの準備ができたアンニパンニがブルンミを連れ戻して、誕生日であることを伝えます。

そこで、ブルンミもなぜ今まで何を聞いても秘密にされていたのかということがわかり、プレゼントやケーキが出てくるとすっかりご機嫌になり、なんて素敵な日なんだろうと大満足の時間を過ごしました。

アンニパンニのサプライズも大成功し、ブルンミもアンニパンニの作戦通り大喜びして、みんなにとって幸せな1日となってお話が終わります。

アンニパンニがブルンミを大喜びさせるために考えたことが、最後にはしっかりと報われて、ブルンミにとっても思い出に残る誕生日になったことは、子供にとってもいろいろな刺激を与えてくれることでしょう。

可愛らしい絵が親しみやすく、お話の内容も小さなお子様にとっての学びが多く、とても温かい気持ちになれる一冊ですので、ご興味のある方は是非お読みください。

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