みなさんは肝試しってしたことありますか?
このお話では、絵本のタイトルの通り、おばけが肝試しをします。
なんともユーモラスなお話ですし、文だけではわからない物語が絵に表現されていますので、ゆっくりと読み進めてもらいたい一冊です。
おばけもおばけが怖い
この絵本は、おばけの子供たちが肝試しを怖がっているところから始まります。
怖がる子供たちですが、閻魔さまに「さっさと、いけー」と叫ばれて、森に飛び込んでいきます。
おばけがおばけを怖がる様子が、ほっこりした気分にさせてくれます。
そして、怖がりながらも行くしかないという様子がチャレンジ精神を表しているようにも思えます。
怖いおばけに出会うたびに変化する子供たちの関係
森に入ると次々と怖いおばけが出てくるのですが、この本の一番の見どころは、おばけとの遭遇を乗り越えるたびに、子供たちの関係に変化が見られるところではないかと思います。
一つ目小僧とろくろ首のカップルが成立することは、読み進めていく中でわかっていくのですが、実は絵をよく見ると、この肝試しでもう1組のカップルができています。
そして、提灯お化けと火の玉の友情も文にはありませんが、見逃せません。
文だけではなく、絵の中だけの物語もあったりして、お子様にとっては楽しめる要素が多い絵本の作りになっています。
カッパの勇気を見落とさないで
このお話の楽しみ方は人それぞれだと思いますが、お子様に読んであげるときに、見落としてほしくないのは、カッパの勇気です。
恋が芽生えたり、ダルマが転がったりと、たくさん楽しむ要素があるのですが、カッパは最初から最後まで先頭を歩いていることに気づいてもらいたいと思います。
しかも、カッパは怖いもの知らずというタイプではなく、最初から怖がった表情をしており、おばけに遭遇した時も、しっかりと怖がっています。
怖いものにも覚悟を決めて向かっていくカッパからは、勇気の大切さを教えてもらえるので、お子様に読まれる時も、是非カッパの存在にも触れてあげてほしいなと思います。
みんなだから前に進めた
それぞれの物語があるこのお話ですが、おばけの子供たちの誰一人として、一人では肝試しに行けなかったのではないかと思います。
怖くてもみんなと一緒だから、森の中を進んで行けたし、怖いおばけに遭遇してもゴールまでたどり着けたのだと思います。
このような経験はこれからどのお子様もしていくことになるでしょうから、そんなときにこのお話を少しでも思い出してくれれば、みんなと一緒だったら大丈夫と思えるかもしれませんね。
怖さを残して終わるお話
肝試しを無事に終えて安心した表情の子供たちが描かれてお話が終わるのですが、後ろから九尾の狐がついてきているという、怖さを残した結末となります。
何も語られることなく、お話が終わってしまいますので、不気味な終わり方だなと思いますが、「おばけ」「肝試し」を題材とした絵本らしくて、それもまたいいなと思えます。
楽しみ方がたくさん詰まった一冊ですので、ご興味がある方は図書館で探してみてください。
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