誰一人として同じ人はいません。同じものを見ても、人によって感じ方や捉え方はバラバラです。
人に何かを言われたときに、それはその人の思うことであって、私たちとは関係ないということがあると思います。その人が全て正しいわけではないですし、そんなに気にする必要はないと頭ではわかっていても、それを気にしてしまうのも人間です。
今回紹介する絵本では、同じものを見ても、人によって千差万別の評価をされること、そして、それを気にしぎる必要はないんだよということを教えてくれます。
みんながいろんなことを言うよね
ゆうたとじんぺいが散歩に行くと、同じように犬の散歩をしている人たちに会います。
10人の人たちに出会うのですが、飼い主の年齢や性別、連れている犬の種類もみんな違います。
みんなが、ゆうたとじんぺいに会うと一言声をかけてきます。
ゆうたとじんぺいは何も変わらないのに、会う人によって一言の内容は全然違います。
じんぺいのことをかわいいと言う人もいれば、怖がる人もいます。
自分が思っている自分と、他人が見ている自分は違いますが、他人の感じ方も人によって違うんだよという話がお子様とできるような内容になっています。
ブレないじんぺい、揺れるゆうた
人によって言うことが違うので、ゆうたはじんぺいのことを良く言ってもらえれば嬉しそうな表情に、悪く言う人がいればムスッとした表情になります。
そりゃそうですよね。褒めてもらえば嬉しいし、貶されれば嫌な気分になるものです。
一方で、一緒にいたじんぺいは、全ページにコピーしたんじゃないかと思えるぐらい、同じ表情でいるのです。褒められようと、悪く言われようと淡々としています。
人の言葉がわからないからなのでしょうか?
いえ、そうではなかったのです。
大切なことをじんぺいが教えてくれる
散歩の最後に出会ったおばさんは、じんぺいを見て、「おお怖い。あっちに行こうね」と自分の犬に声をかけます。
なかなか失礼なおばさんですが、この言葉にゆうたはしょんぼりしてしまいます。
そんなゆうたに、じんぺいは背中でこう語りかけます。
“ゆうた、人の言うことなんか気にするな。俺は俺だ。”
じんぺいはこう考えていたので、散歩中に何を言われても、表情一つ変えずにいたのでした。
このお話では、10人が10通りの話をしてきて、ゆうたの感情はその都度変化していきました。
人の意見には耳を傾けるべきだと思いますが、自分をしっかり持っていないと、人の言葉に一喜一憂してしまい、自分が自分らしくあることが難しくなってきます。
どれだけ自己肯定感が高いかにも左右されるのかもしれませんが、世の中にはいろんな人がいるので、自分は自分と思うことがどれだけ大切なのかを、この絵本は教えてくれています。
誰しも自分のお子様には、他人の顔色を伺いながら生きていくよりも、自分らしく生きていってほしいと思われていると思います。この絵本はそんな全ての親子に読んでもらいたい一冊です。
お子様がお友達の言動に傷ついたりしているときに、いろんな人がいるから気にしなくていいよと読んであげるのもいいかもしれません。
ご興味のある方は図書館で探してみてください。
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