「100万円を出資すれば元本保証で毎月1万円の配当が出る」。こんな儲け話を身近な友人が持ってきたことはないでしょうか？投資詐欺をしている人は詐欺とは言いませんので、詐欺の被害に遭っている人を含めてポンジスキームという言葉に馴染みがないという方は多いかもしれません。しかし、ポンジスキームというのは非常に悪質な手口の詐欺ですので、そのパターンを知っておかなければ知らないうちに自分も被害者になってしまう可能性があります。そこで今回はポンジスキームについて解説していきますので、自分を詐欺から守るために役立ててください。
ポンジスキームのカラクリ
ポンジ・スキームとは
ポンジスキームというのは、出資者から集めた資金を運用して、運用益から出資者へ配当金を支払うということを触込みで多くの出資者を集めるのですが、実際には運用などは行わずに出資者から集めた資金から配当を支払うとういう投資詐欺の手口です。
この詐欺のどこが悪質かというと、実際には運用をしていないので新しい出資者が見つからなければ最終的には破綻することが目に見えているという点です。集めた資金を配当金として配っているだけなので、破綻することは当然です。初期の出資者は投資金額を回収した上で利益も出せますが、後から参加した出資者は出資額を回収することができず、大きな損失を被ります。
なぜポンジスキームに参加するのか
ポンジスキームに参加する人には２パターンの種類があると思います。
一つは無知な人です。通常、投資の世界で元本保証で月利3%と聞くとまともな金融商品でないことは一目瞭然です。しかし、こういった金融の基本的な情報を知らない人にとっては、元本が保証されている上に安定して配当がもらえてるなんてすごくいい話ということで飛びついてしまうのでしょう。ポンジスキームは身近な人からの紹介という警戒心の少ない状態で忍び寄り、実際に紹介者も毎月配当を受け取っているという事実を目の当たりにするため、安心して投資してしまうケースが多いです。
もう一つはポンジスキームとわかった上で投資をする人です。ポンジスキームでは、元本保証されている場合が多いですので、破綻する前であれば元本を回収することが可能です。つまり、破綻する直前に解約を行うことができれば、多くの配当金を得た上に元本も戻ってくることになりますので、資産を増やすことができるため、破綻するタイミングを見計って破綻前に売り抜けようという人がこのパターンに該当します。
ポンジスキームの行く末
ポンジスキームをどのような考えで始めたとしても、解約前に投資先が破綻してしまえば元本も戻ってくることはありません。前者の方には長期的に配当をもらえると思っている方が多いかと思いますので、初期に契約をして元本分ぐらいの配当を受け取れていればいいのですが、そうでない場合には売り抜けられる可能性は低いでしょう。後者の場合でも破綻のタイミングは図ることができませんし、運用会社と近い関係にあり、破綻時期を聞かされていたとしても、それが嘘の情報であった場合には大きな損害を被ることになります。
初期に始めた人は得をする可能性はありますが、出資者の支払った資金を配当として配っているだけなので、遅れて参加した人はほぼ間違いなく損をする仕組みとなっています。この投資話を友人からされて始めたけれど、破綻したときに友人は十分に利益を確保していたけれども、自分は大損をしたという話はよくあり、良好だった人間関係まで破綻してしまうケースもあります。
ポンジスキームに騙されないために
身近な人からの紹介などで広がるポンジスキームですが、これに騙されないためのコツをいくつか紹介します。
紹介者がどれだけ案件を理解しているか確認する
ポンジスキームを紹介してくる方の中には、自分が投資している内容をきちんと理解できていない方が多いです。ただ儲かるの一点張りで話をしてくる人には、どのような先に投資していてどれぐらいの運用益が出ているのかを聞いてみましょう。このようなことが明確でないものに投資するのは非常に危険ですし、詐欺案件である可能性も高いためです。
配当が多すぎる
ギャンブル性の低いまともな投資商品に長期投資している場合のリターンというのは、年利で3〜7%ぐらいです。それを考えると月利で数%というのがどれだけ異常な配当かがわかるはずです。年利ではなく月利で数%という数字を見た瞬間に詐欺だと認定してもいいぐらいです。それを元本保証でというのであれば、少し知識がある人であれば怖くて投資ができません。リスクを取らずして大きなリターンを得ることはできないと知っているからです。
運用資産残高が公表されているか
ポンジスキームで多いのは、過去の配当実績を公表するというものですが、配当というのは本来なら出資者から預かった資産を運用して出た利益から還元するものです。そのため、運用をせずに配当の支払いを行うポンジスキームでは、出資者が増え続けない限り運用資産残高が減っていくでしょうし、内訳を公表することは基本的にはしないはずです。仮にこういった情報が公表されていても本当の数字ではない可能性がありますので注意してください。
正しい知識があなたの資産を守る
詐欺師は自分は詐欺師であることを隠して近寄ってきます。あなたのためにとそれらしいことを言葉巧みに言ってきます。そして「今だけ」とか「いつまでにしなければ」というような期限を切って判断を急かせてきます。妙に納得できる話で乗り遅れるとチャンスを逃すかもしれないという気持ちにもなりますが、少しでも怪しいと思うことがあれば、必ず立ち止まって考えてみてください。こんなに美味しい儲け話が他の誰でもなくあなたのところに向こうからやってくることがあるだろうかと。
最後に自分を守ってくれるのは自分自身だけです。普段から正しい知識を身につけておけば、突然やってくるそのときにも冷静な判断を下すことができるはずです。
資産を築くことはとても大変なことですが、その資産を溶かすことは一瞬でできてしまいます。大切なあなたの資産を守るために正しい知識を身につけていくことが大切です。
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