明確な決まりはなくても、家族の中での役割ってありませんか?
規則正しい生活をしてみんなのペースメーカーとなってくれる、よく忘れ物に気がついてくれる、困った時にアドバイスをくれる、みんなを笑かして家の中を明るくしてくれる。
それぞれの家庭でいろいろな役割が存在していると思いますが、その役割は家族の絆をより深めてくれたり、自己肯定感を高めてくれたりします。
まだ何もできない小さな子供でも、自分の存在がみんなを笑顔にし、みんなを癒しているのであれば、無意識に自分の役割や存在意義を感じて、自己肯定感を高めていきます。
今回紹介する絵本は、そんな家族内での役割を描いたお話です。
犬のじんぺいの役割
このお話は、犬のじんぺいの一日とお父さんの一日を対比しながら進んでいきます。
朝一番にお父さんがじんぺいに挨拶をし、それにじんぺいがあくびで答えるところから始まります。
お父さんは家族のために仕事に出かけますが、じんぺいは犬なのでお父さんと同じような生活を送っているわけではありません。
一見すると自由気ままに一日を過ごし、みんなに世話をしてもらってばかりいるように見えるじんぺいですが、じんぺいにもしっかりと役割があります。
お父さんが帰る頃にはみんな寝てしまっているのですが、じんぺいだけがお父さんの帰りを起きて待っているのです。そして、じんぺいは帰ってきたお父さんを何も言わずに癒してあげるのです。
お父さんが晩酌をするのであれば、じんぺいはそれに付き合います。
お父さんはじんぺいがいつも待ってくれていること、帰ってきた自分のそばにいてくれることを嬉しく感じているに違いありません。じんぺいがそこにいてくれるだけで、お父さんは癒され、幸せな気持ちになれるのです。
小さな子供の役割
小さな子供の家庭内での役割も、じんぺいに似た部分があるのではないでしょうか?
小さな子供に、家計を支えたり、家事をしたりということはできません。
そういったことができなくても、子供の笑顔が家の中を明るくしてくれますし、できなかったことが少しずつできるように成長していく姿は家族に感動をもたらしてくれます。親は子供がそばにいてくれるだけで、本当に幸せなものです。
けれども、日常は慌ただしく、世話やしつけをするので精一杯で、なかなか子供からもらっている明るさや癒しに感謝をするという場面が少ない方もおられるかもしれません。
「いつもそばにいてくれてありがとう」「あなたの顔を見ると心がほっとする」といった子供からしてもらっていることと、それに対する感謝の気持ちを伝えてあげることで、子供も自分の存在意義を感じ、自己肯定感が高まっていきます。
ここにいることだけで十分なんだ
この絵本で、特に誰かのために何かをするわけではないじんぺいですが、家族の大切な一員であることが伝わってきます。じんぺい自身は家族のために何かをしているつもりはないでしょうが、じんぺいがいないと少なくともお父さんは困るでしょう。家族みんながじんぺいのことが大好きで、じんぺいもそんな家族のことが大好きという素敵な関係が築かれています。
そんなじんぺいの姿を楽しく見ることで、お子様の自己肯定感も自然に高まるような気がしてきます。とても短いお話なので、何度も何度も繰り返し読まれるのがオススメです。
小さなお子様でも楽しめるシンプルな内容ですが、よくよく考えると奥が深く、味わい深い一冊です。お子様にも、あなたはいてくれるだけで、周りの人を幸せにしているんだよということを説明し、理解してもらうための手助けとなってくれる絵本です。
小さなお子様の自己肯定感を高めてあげたい方には、この本を何度も読み聞かせをして、じんぺいの気持ち、お父さんの気持ち、そして、お子様を思う親御さんの気持ちを話してみるというのがとてもオススメです。
子供の自己肯定感を高めるために大切なことが、頭ではわかっていても、実際には違うことをやってしまうということも多々あるかと思います。そんな親御さんであったとしても、落ち込んだり、諦めたりする必要はありません。こういった絵本を読んであげるときだけでも、子供の自己肯定感を高めてあげることに集中してあげてください。そうすれば、子供にはしっかりと親の愛情が伝わって、自分の存在をきっちりと肯定できる子に育ちます。
ただ絵本を読むだけでは子供は変わりません。誰かと一緒に絵本を読む時間が子供を育てていくのだと思います。ぜひお子様と一緒に絵本の世界にどっぷりと浸かってみてください。
今回紹介した絵本にご興味のある方は、ぜひ図書館で探してみてください。
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