親であれば誰しも子供の将来について多少の心配はあると思います。少しずつたくましく成長していく子供の姿を見ても、赤ちゃんだった頃を思い出したりしながら、この子は自分の力でやっていけるのだろうかなんて考える瞬間が時にはあるかもしれません。今回はそんな子供の将来の心配を少しでも減らすことができるような話をしたいと思います。
子供の将来の心配はどこからやってくるのか?
子供の将来の心配というのはいったいどこからやってくる感情なのでしょうか?私が思うに、この感情は主に次の3つの要素から構成されています。
これらの心配事はどこまでいってもゼロになることはありませんが、自分の感情を論理的に理解しておくことで、漠然としていた不安に対して行動を起こしていくことができ、子供の将来の心配を減らすことができます。
これら3つの要素それぞれについて、なぜそのような心配が生じるのか、それに対してどのように考えていけばいいのかについて解説していきます。
子供の将来の心配を引き起こす3つの要素
ここからは子供の将来の心配を引き起こす3つの要素について考えていきましょう。
不透明な未来の世界に対する不安
親は子供自身ではなく、未来の社会そのものに不安を抱えている場合があります。
日本で言えば、「年金問題」「少子高齢化問題」「終身雇用制度の崩壊」「日本経済の低迷」などなど、これまでは良かったけれども、これからはかなり不安定な時代に突入するということで、子供がどのように生きていくのかをイメージすることができないということを考える人がいると思います。
だけど本当にそんなに厳しい時代がやってくるかどうかなんて誰にも分かりませんし、これから世界がさらに良くなるための変化も起こり始めています。AI・自動運転・VR・AR・3Dプリンタ・仮想通貨。こういった新たなテクノロジーが完全に一般の世界に入り込んだら、私たちの生活はどう変化していくのでしょうか。人は全ての情報のうちの一部分しか見ずに、未来に対して失望を抱いたりしますが、貧困は減っていき、教育も広がり、世界は少しずつ良くなっているのです。当然、まだまだ貧しい地域はありますし、識字率も100%には程遠いですが、後退はしておらず、前進しているという事実があるのです。詳しく知りたい方は、FACTFULNESS(ファクトフルネス)という本を読んでみてください。
何が言いたいのかというと、これからの世界が具体的にどうなるかを個人が考えてもどうにもならないけれど、世界は良くなる方向で進んでいるんだということをしっかり認識することで、子供の将来の不安も和らぐでしょう。
そして、パソコンやスマホを使える高齢の方が少ないように、これから世に出てくるテクノロジーに対しては、私たち親世代には理解できないけれど、子供は順応していくことができるというものが数多く出てくるのではないかと思います。スマートフォンが出始めた頃に、短期間のうちにここまで普及して、生活に欠かすことのできない存在となるとは思っていなかった人が多かったと思いますが、テクノロジーの進化というのは今後もそのようなスピードで進んでいくのだと思います。そんなスピードにも子供たちは適応していくでしょうから、私たちにも見えない未来がきっと子供たちには見えてくるはずなので、私たちが心配する必要はないように思います。
世界は少しずつ良くなっている事実があるから未来は明るい
子供の能力に関する不安
おっとりしすぎていたり、物覚えが悪いなど、子供がこのまま大きくなったときに、ちゃんとやっていけるだろうかという不安を抱えている方もおられるかもしれません。
でも、そういった子は本当に困るのでしょうか?先ほどの話と重複するところはありますが、世界のテクノロジーはとてつもないスピードで進化をしています。そうしたときに何が起こるかということを考えることで、子供の能力に関する不安は減るのではないかと思います。テクノロジーの進化で何が起こるかというと、今は人間がしている仕事もロボットやコンピュータが取って代わるということが考えられます。
例えば、自動運転技術やAIなどの組み合わせで無人の車が目的地まで運んでくれるロボタクシーというものが普及していくと言われています。ドライバーの無人化が実現すれば、タクシー運転手は不要となるでしょうし、トラック運転手という職業もなくなるかもしれません。これ以外のところでも、人間よりも速く正確でコストも安い技術が、私たちの生活の中に入ってくるのも時間の問題です。
こんな時代がやってくると聞いてどう感じたでしょうか。未来を正確に予測することはできませんが、私は「能力の時代」から「心の時代」に変化するのではないかと考えています。怪しい話をしているわけではありません。これまで「能力」と考えられていたもの、例えば処理速度や正確性といったものは、人工知能の得意分野ですし、単純作業はロボットに置き換えることができます。さらに先の未来がどうなるかは分かりませんが、次にやってくる未来の段階では、心というのはまだテクノロジーが完全には足を踏み入れられる領域ではないように思います。
心は雰囲気や気分といった数値化が難しい曖昧なものが関連していると同時に、みんなが違う考え方を持っているので、人間にしか読み取ることができないものであると思います。また、優しさや温もりの伝わる対応をされれば人は嬉しい気持ちになりますので、人間にとって心というものは大切だということも理解できるでしょう。
こういった人間らしさがあれば、必ず社会から必要とされる人材となれると思います。たとえ物事の処理能力が低かったとしても、思いやりのある心や人の気持ちを考えられる子であれば重宝されるでしょう。コミニュケーションの方法も多様化しており直接話す以外のやり取りも当たり前になってきていますので、人と話すのが苦手でも素敵な心さえあれば活躍できる時代なので、心があれば心配はありません。能力の低さを嘆くよりも、心の豊かさに目を向けていきましょう。
「能力の時代」から「心の時代」へ変化していくでしょう
かわいいからこそ湧き出る子供を憂う親心
子供がかわいいと思う気持ちが強いほど、親は子供の将来について心配してしまう気持ちが強くなってしまうものです。ですが、親の気持ちというのは子供に伝染します。親が子供の将来に対して不安だと感じていれば、子供も不安を感じてしまいます。
反対に子供を信じてあげていれば、それが子供に伝わりますので、自分に一番近い大人である親が大丈夫と思っているんだから大丈夫だという気持ちを持って、様々なことに前向きに向き合っていくことができます。
子供の将来が心配になる親心が良くわかるこそ提案したいのが、「損得勘定」で考えるということです。
先ほど述べたとおり、本当に心配だから心配しているんだと言ったところで、子供にポジティブな影響を与えることはできません。そこで、結果はどうなるかわからないけれども、信じてあげる方が子供も自信を持つことができるから、心配するよりもお得だと考えてみてほしいのです。
日々の小さな違いがやがて大きな差となるのです。子供が大きくなって困難に直面したときに、もうダメだと思うのか、自分ならできるはずだと考えることができるかは、子供の頃に周りの人に信じてもらっていたかどうかということが与える影響は大きいです。
損得勘定で心配な気持ちを抑え込むということを試してみてください。
「心配」よりも「信じる」の方がお得!
子供ではなく親自身が変わる
ここまで子供の将来の心配が少しだけ減る話をしてきました。すでにお気づきかもしれませんが、不安や心配を減らすために、子供を変えようという話は何もしていません。
子供はそれぞれのスピードで自分に合った成長をしていくものです。それを親が周りと比べたりして不安になり、子供の成長に悪影響のあるアプローチをしてしまうことがあります。
子供の人生を豊かにするために、子供を優秀な子に育て上げるというのは間違いではないかもしれませんが、子供の人生を豊かにするための方法論の一つにすぎませんので、その教育が合わないという子もいるかもしれません。そこでもう一度、ご自身が子供に対してとっているアプローチの目的はなんなのかということを考えてみてほしいのです。親御さんの根底には、「幸せになってほしい」「楽しく生きていってほしい」という気持ちがあるのではないでしょうか?その目的のために、「勉強が得意な子に育てる」や「友達がたくさんできるようにサポート」するという選択肢があるのです。根底にある目的を忘れてしまい、無数にある選択肢に対して盲目になっていることが、心配に繋がっていることもありますので、そういうときには子供を変えようとするのではなく、親の考え方やモノの見方を少し変えてみるというのがいいかもしれません。
子供は親の姿を見て成長をしていきます。親が子供のために試行錯誤している姿を子供はよく見て、親の愛情を感じ取ってくれることでしょう。子供を心配する気持ちを少し減らして子育てを楽しんでいきましょう!
絵本の紹介
家といっても、大きな家や小さな家、変わった屋根の家など、いろいろな種類の家があります。この絵本には、家やパンや車といったものについて、こんな家を探してみようといった遊びがたくさん仕掛けられています。
「パン」という言葉で一括りにされているものの中にも、たくさんの種類のパンがあるんだということがよく分かります。子供にとっては、情報を細分化すれば物事の選択肢を増やすことができるんだということを無意識に学習することができるような内容になっています。
この物事の選択肢を多く持つということは、子育てにおいても大切なことだと思います。この生き方しかないと考えて子育てをしていると、それが上手くいかなかったときには絶望的な気持ちになるでしょうが、幸せという目的地に向かうための一つのルートだという見方ができれば、ダメだったら違う道から行けばいいという気持ちになれると思います。広い視野と余裕を持った気持ちで、親が子供が楽しく生きていくためのサポートをしてあげたいなと思える一冊です。
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