勉強やピアノやスポーツなど、子供が頑張って取り組んで、しっかりと実力をつけたにもかかわらず、いざ本番となると力が発揮できないということにお悩みの方は多いのではないでしょうか。
いつも通りにすれば必ず結果が出せるとわかっているからこそ、本番で力を発揮できない子供を見るのはもどかしい気持ちになるものです。
今回は、頑張った子供たちが本番で自分の力を出し切るために参考になる情報をお伝えします。
「本番の強さ」は能力の一つと捉えよう
本番に強い子と本番に弱い子の違いはどこにあるのでしょうか。
本番に弱い子というのは、失敗してはいけないというプレッシャーに飲まれてしまったり、たくさんの人に見られているという状況に緊張したりすることで、気持ちが動揺してしまうため、実力を発揮できないという状況に陥ります。
反対に本番に強い子は、程度の差はありますが、目の前のことに集中して、余計なことは考えず、周りの目も気にならない状態で本番に臨んでいるため、「いつも通り」の力を発揮できるのです。
これは生まれ持った性格による部分が多いのは事実でしょうが、本番の強さは一つの能力と考えると、その能力を伸ばしてあげることで、確実に本番に強い子になれると言えます。
本番に強い子というのは、本番でいつも通りの力を発揮できる能力が高い子です。その能力を無意識のうちに身につけている子がいる一方で、今はその能力が低い子でも、ピアノやスポーツのように日々の積み重ねによって、着実に能力を高めていくことができます。
本番の強さは決してすぐに身につくものではありませんので、「明日の発表会ではいつも通りの演奏をすれば大丈夫だから落ち着いて演奏しようね」ということを伝えても、いつもの力を発揮できない子は発揮できません。能力を身に着けるためには、ある程度長い目で見守ってあげることが必要であることを理解してあげましょう。
誰でも得意なことと不得意なものがあるものです、本番の強さもその一つだということを認識した上で、どのように本番に強くしていくのかということを見ていきましょう。
「本番の強さ」は一つの能力と捉え、能力を伸ばす取り組みをしよう
本番に強くなる5つの方法
ここからは、子供を本番に強くするための具体的な方法について解説していきます。
もともと本番に強い子にとっては、今回紹介するようなことは不要なのでしょうが、本番で自分の力を発揮できないという子にとっては効果的な方法ですので、これらの中からお子様にあった方法を日々の生活の中に取り入れてもらうことで、子供は本番に強くなっていきます。
ここで忘れないでもらいたいのは、本番の強さは一つの能力ということです。一朝一夕で身につくものではありませんので、徐々に変わっていくお子様の姿を長い目で見守ってあげてください。
完璧主義からの脱却
本番に弱い子は完璧主義であることが多いです。
完璧主義かどうかは、本人が持って生まれたものである可能性は低いと思います。
最後まできっちり丁寧にやろうねという育ち方をしてきた子は完璧主義になりやすいです。完璧主義ではない子は、中途半端なところまでしかできていないことでも、そこまで頑張ったことを褒めてもらってきていたり、不完全な部分があっても特に何も言われなかったという場合が多いです。
ここで断っておきたいのは、子供を完璧主義に育てた親御さんの子育てが悪いということではないということです。完璧主義には完璧主義の良さがありますし、完璧主義の人にしかなし得ないことがたくさんあるからです。ただ、今回は本番に強くするというテーマですので、本番で力を発揮するためには、完璧主義の度合いのバランスを調整することで、劇的に本番の強さを身につけられる可能性があるというお話をしたいと思います。
完璧主義な子の家では、例えば小学校でテストがあったときに、子供が90点を取ってきたときに、褒めてあげると同時に残り10点も取れるように頑張ろうねという話をすることが多いのではないかと思います。ここで、点数が取れなかった10点に触れてしまうと、子供は「今回のテストは10点のとりこぼしがあった」と捉えてしまいます。
テストを持って帰ってきた日には、それが何点であれポジティブな会話をしてあげてほしいと思います。間違えたところについては、これから勉強していけばいいですし、とりこぼしにスポットライトを当てたところでそのテストの点数が変わることがないからです。90点を取れた子に「あと少しで100点だったね」と言うよりも、80点の子に「80点も取れてすごいね」と言ってあげた方が子供は自信をつけます。
完璧主義からの脱却には時間がかかりますが、日々のちょっとした意識で、長い目で見れば子供の物事の捉え方まで変えてしまうぐらいの違いがあるということを覚えておいてほしいと思います。
ルーティンを作る
本番に弱い子は、本番の独特の空気に気持ちを惑わされてしまうことが多いと思いますが、ルーティンを作ることで、本番のときにも、練習や勉強中と同じ精神状態に少しでも近づけることができます。
ルーティンというのは、定型的な一連の動作のことをいいます。
ピアノを弾くときには必ず髪を縛りなおす、勉強をするときには必ず耳たぶを触ってから始めるといった決まった動作をすることで、本番でも身につけた力を自然体で発揮することができる効果があります。
緊張が高まる本番の場面でも、「いつも通り」を取り入れることで、落ち着きをもたらし、練習と同じような動きを取りやすくなります。
練習や勉強をしているときから、習慣化した動きを取り入れることで、本番にもその動きを持ち込んで、心に落ち着きをもたらすことができるのです。
呼吸法を取り入れる
緊張が原因で、本番で実力を発揮できない子にオススメなのが、呼吸法を取り入れるという方法です。
私たちには、交感神経と副交感神経からなる自律神経があります。何かに集中したり、戦闘状態に入っているときには、交感神経が優位となっている状態です。そして、リラックスしているときというのは、副交感神経が優位となっています。
どちらも私たちが生きていく上で非常に大切なものなのですが、これらのバランスが乱れていると厄介です。例えば、夜寝る時まで交感神経が優位に働いていると睡眠の質が著しく低下して睡眠障害に繋がることもあります。極度の緊張というのも、自律神経の視点から見ると交感神経が優位に働きすぎている状態と言えます。
ここで自律神経のバランスを整えてくれるのが、「腹式呼吸」です。腹式呼吸をすることで、精神が安定し、リラックスできる状態が作れますので、交感神経が働きすぎるという状態を緩和することが可能となります。
腹式呼吸のやり方は、鼻からお腹に空気をためるように息を吸い、口からゆっくりと息を吐くというものです。このとき、吸う時間の3倍ぐらいの時間をかけて吐くことが大切です。3秒で吸って、6〜7秒で吐くというのがいいと思います。
日々この腹式呼吸を行うことで、自律神経のバランスを整えて極度の緊張をやわらげていきましょう。先ほどお伝えした通り、リラックス効果もありますので、本番前のルーティンに腹式呼吸を取り入れるのもいいでしょう。
普段からプレッシャーをかけておく
本番で力を発揮できない理由として、環境や条件が普段と異なるということがあります。対戦相手がいる、制限時間がある、周りの鉛筆の音が聞こえるなど、普段とは違った環境への戸惑いは、パフォーマンスを低下させる要因になります。
スポーツで大きな大会に何度も出ている人は、会場の雰囲気や突発的なアクシデントにも慣れるので、初めて出る人よりも落ち着いて競技に臨めるでしょう。
ただ、そんな「普段とは違う」ということがわかっているのであれば、それに近い環境で普段から準備をしていれば、していない場合とは大きな違いがあらわれるはずです。
日頃から誰かと競い合う環境を作ったり、厳しい制限時間を設けたり、あえて雑音を流すことで、本番で想定されるパフォーマンスの発揮を阻害することへの耐性を身につけておくのです。
集中力を鍛える
最後にお伝えする方法は、「集中力を鍛える」というものです。
本番で緊張したり、余計なことを考える子は、自分のやるべきことに100%の力を使えていません。これを解消してくれるのが集中力になるのですが、一生懸命練習や勉強を頑張った子というのは、誰しも集中力を持っているものだと思います。
ですので、純粋に集中力を身につけるというよりも、思考の断捨離をできるように考え方を変えていくことが必要です。
思考の断捨離が何かというと、目の前のことに自分の力を発揮するために必要なことのみを考え、不要なものは排除するというものです。本番で上手くいかなかったらどうしようというのは、やり終えた後のことを考えている状態です。こういった本番に直接関係ないことを考えることが緊張に繋がるということを認識しているだけでも、普段から自分のやるべきことに集中する習慣ができますので、本番に力を発揮しやすくなります。
本番に強くなる5つの方法
- 完璧主義からの脱却
- ルーティンを作る
- 呼吸法を取り入れる
- 普段からプレッシャーをかけておく
- 集中力を鍛える
トライ&エラーを繰り返そう
ここまで本番に強くなる5つの方法をお伝えしてきましが、全てのものが全ての子供に効果的であるとは思いません。どれ一つ合わないという子もいるかもしれません。
しかし、何もしなければいつまでたっても本番に弱いままです。行動を起こさなければ何も変わりませんので、できることから実行に移していくことが何より大切です。
地球は行動の星と言われることがあるように、思うだけでは変化が訪れることはありません。何かを変えるということは勇気もいりますし、体力がいることかもしれません。けれども、自分を変えたいという思いがあるのであれば、トライ&エラーを繰り返して、なりたい自分を手に入れる行動を起こすべきです。
お子様を本番に強くしてあげたいという親御さんは今回紹介した方法を参考にして、お子様をサポートしてあげてもらいたいなと思います。
自分を変えるためには行動あるのみ!
絵本の紹介
犬のアンガスはなんでも知りたがる犬でした。
知りたがりのアンガスは、庭の境のいけがきの向こう側から聞こえてくる、やかましい音の正体を一番知りたがっていました。
アンガスは家を飛び出して音の正体を掴みに出かけるお話です。
アンガスの目の前のことに一生懸命になる姿は、それ以外のものが目には入らないぐらいの集中力を感じさせてくれます。そこに余計な雑念は一切ありません。
本番に強くなるために集中力を鍛えるという話もしましたが、今の自分にとって必要なことだけにフォーカスして物事に取り組むという姿勢は誰もが見習う点ではないかと思います。
無邪気なアンガスの姿が、目の前のことに一生懸命に取り組むことの大切さを教えてくれる楽しい絵本ですので、ご興味のある方は図書館で探してみてください。
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